最近、書店で アラーキーのエロティックな写真集を見かけ、
私の大好きな写真集のことを思い出し、紹介してみようと思う。
アラーキーこと荒木経惟(あらきのぶよし)と聞くと、
エロおやじ的なイメージを持つ人も多いかもしれない。
芸術的と評される篠山紀信のヌード写真と比べられることも多いが、
私も、かの昔は、彼の撮る女性の裸体を見ては、
嫌らしさとか、風俗的な感じを抱いていた。
しかし、この「陽子」という写真集を手にとってからは、
彼のイメージがすっかり変わってしまった。

芸術家である前に、ふつうの日常感覚を持ち合わせ、
妻や猫との時間を楽しむ、
愛情に満ちあふれた普通のオジさん。
それからというもの、彼が撮るヌードにも、
芸術というのを飛び越えて、
人間への愛や敬いみたいなものを感じるようになり、
純粋な綺麗なものに見えるようになった。
「陽子」というのは、彼の妻である。
この写真集には、陽子さんと出会った頃からの彼女の写真や、
夫婦の日常の風景、陽子さんが可愛がっていた愛猫の写真が収まっている。
ご多分に漏れず、自分の奥さんのヌードも披露してくださっている。
誰が見ても美人といえる人ではないのだけれど、
見るほどに、綺麗に見えてくるから不思議だ。
これは、カメラのレンズを通して、
旦那であるアラーキーの愛情が降り注がれているからに違いない。
悲しいことに、陽子さんは、42歳の若さで亡くなってしまう。
確か、ガンだったと思うが、
闘病のため入院生活を送る間、アラーキーは、
1日も欠かすことなく、毎日毎日、病院に通い続けた、
ということが、陽子さんの日記に記されている。
アラーキーにとって、彼女は、
どんなにか大切な人だったろうか。
出会いも、至って 普通、というか 昔ふうで、
社内恋愛。
アラーキーがプロの写真家となる前、
電通で会社員として働いていたそうだ。
奥さんも、そこの社員だった。
特別な出会いでないところが、またいい。
奥さんが亡くなって しばらくの間、
彼は写真が撮れなくなってしまっている。
撮れなくなったというか、彼自身の談によれば、
来る日も来る日も、空ばかり撮っていたそうだ。
カメラのファインダー越しに空を見上げて、
天国に昇った奥さんの姿を探していたのか、
それとも、奥さんが居なくなった空虚感を空に重ね合わせていたのか、
こんな愛情たっぷりの写真と 2人の仲睦まじいエピソードに
心揺るがされる本なのです。
機会があれば、ぜひ、手にとって欲しいです。





































